CADとは?種類や特徴、使用するメリット・できることについてを解説

インターネットの普及に伴い、これまで紙面上でおこなってきた多くの仕事がデジタルに置き換わっています。

現行業務をデジタルに置き換えるためには、システムの仕様や中身を知ることはもちろんながら、その業務をデジタル化することでどのようなメリットがあるのかを理解しなければなりません。

この記事では建築業や製造業のデジタル化を進めるためのツールである「CAD」についてを取り上げ、特徴やメリット、用途などについて解説をします。

CADとは

CADとは『Computer Aided Design』の略で、コンピューターを用いた設計ツールのことを意味します。

建築をする際の製図や、機械の製造をするための設計など、製造物を作る際には必ず設計図を図面上に作成する必要があります。

この仕事はこれまで紙媒体に手書きで図面を記載して作成するのが一般的でしたが、これをデジタル化してシステム上でおこなうことができるようにしたものがCADです。

CADの特徴

設計をデジタル化できるCADには以下の特徴が挙げられます。

1つ目の特徴は、製図を効率的に進めることができることです。

従来の製図の進め方は、紙面に書き込んでいくという作業が求められました。

これに対しCADは紙面でおこなっていた作業を、コンピューター上でおこないます。

紙面で製図を行う際には、専用の道具を使って、地道な作業が必要です。

例えば、まっすぐに線を引くだけでも定規が必要ですし、直角に線を引く際にも、90度に曲がった定規を使ったりします。

更には、全く同じものを複数箇所で使用する場合には、再度イチから書く必要があります。

一方で、コンピュータ上で製図を行う際には、オブジェクトをコピーすることができたり、真っ直ぐな線・直角な線も簡単に作ることが出来ます。

結果として、効率的な製図が可能になりました。

2つ目の特徴は、データの加筆修正が容易であることです。

製図をしている際には当然修正をしなければならないケースがあります。

このような場合に紙面であれば該当箇所を消して修正をしなければなりませんが、該当部分以外の周辺も一緒に消してしまうといった余計な手間が発生します。

CADであれば該当箇所のみを修正することができ、効率よく作業を進めることができます。

3つ目の特徴は、データの共有ができることです。

インターネットに接続していれば製図したデータをクラウドサーバー上に保存できます。

紙面であれば設計現場に直接出向いたり、郵送で送付するなどといった対応を取る必要があり、時間面やコスト面に無駄がありました。

しかし、データをサーバー上に保存することで共有が容易になるため、これまで発生していた手間をなくすことができます。

CADの種類

CADには種類がありますので、その違いについて解説します。

2DCAD

2DCADとは、2次元の画像で立体を表現してデータの製図をおこなうことをいいます。

製造物を2次元で捉えるため、製品の断面図を作成する際などに活用します。

従来紙面上で製図をしていた時の線を引く作業や、構成をイメージする際に相当するものであるため、CADを利用したことがない方にとっても馴染みやすい仕様だといえます。

利用にあたっては最終成果物の体積量など、物を立体的に捉えるための視野が求められます。

3DCAD

3DCADとは、3次元でデータの設計をおこなうことをいいます。

手書きでは表現できない技法で設計をおこなうことが可能です。

2DCADでは表現が困難な構造も視覚的に捉えることができるため、早い段階で最終的な成果物をイメージしやすいといえます。

3DCADを利用するにあたっての留意点としては、2DCADのように面積情報ではなく体積情報でデータを設計するため、必然的にデータ容量が多くなってしまいます。

利用についてはコンピューターのメモリやストレージ面での注意が必要です。

また、3DCADは2DCADと違い無料サービスが少ないです。

便利である反面、利用料が割高になりやすいため、予算と相談した上での検討が必要です。

専用CAD

専用CADとは、建築や土木、製造業などのようにそれぞれの業務分野に特化した機能や部品があらかじめ実装されているCADのことをいいます。

基本的な仕様設計は他のCADと比較して大きな違いはありませんが、直感的な使用感においてはそれぞれの分野に沿った作りになっています。

汎用CAD

汎用CADは専用CADと逆で、分野に関係なく幅広く利用機会があるCADのことをいいます。

多くの分野で利用できる一方で、幅広く対応するために搭載されている機能は浅くとも広くカバーしています。

そのため、全ての機能を理解するのは難しいという一面があります。

価格面については安価なものが多いです。

2DCADと3DCADの用途

2DCADと3DCADの用途に大きな違いはなく、製図やデザインの他、解析やデータ作成などが挙げられます。

用途としてはほぼ同じですが、2DCADと3DCADの性能を比較すると当然3DCADの方が機能性は優れているため、2DCADの使用機会は少ないように感じられます。

しかし、2DCADの需要がないかというとそうではありません。

その理由は先にも述べたようにコスト面の問題があるからです。

そのため、コストを抑えるために3Dでの表現をする必要がない場合は2DCADの活用機会があるといえます。

例えば初期段階の打ち合わせに用いる簡素なデータの作成など、3Dデータをわざわざ用意するほどではない時は2DCADで対応すべきだといえます。

一方、開発に向けてプロジェクトが進み、試作品を作って検証をしたい場合などにおいては3DCADを用いるべきといえます。

また、上記以外のケースとしては、保存データの拡張子の種類によって使い分けるという場合もあります。

CADのメリット

これまで紙面上でおこなっていた設計をデジタル化したCADには以下のようなメリットがあります。

作業の最適化

これまでは全ての情報を紙に書き込む必要がありましたが、これをコンピューター上でおこなうことで時間を大幅に削減することができます。

生産性向上に繋がり、業務の最適化を図ることができるでしょう。

不測の事態に対応しやすい

例えば紙面であれば製図をしている際に紙が破れるといった事態が起きる可能性があります。

また、修正の際に誤って別の箇所を修正してしまい、再現ができなくなるといったことも考えられます。

このような事態に対し、CADであれば修正前後のデータを履歴として保持することができるため、余計な手戻りの防止や手間を省略することが期待できます。

また、履歴としてデータを保管することで、
「先月の状態との比較」
なども可能になります。

データの見える化

CADであればデータをサーバーに保存できることを先に述べました。

サーバーに接続すれば同じデータを複数人で管理することができ、意思疎通が図りやすくなります。

データ内容の同時修正などもできるため、作業効率を高めて製図をおこなうことができます。

また、保管場所を統一し、社内でのルールを作ることで、業務の引き継ぎなども効率的に出来ます。

更に、ファイルの名称をきちんとルール化することで、検索性などの向上も可能です。

作業レベルの均一化

複数人がそれぞれ作業を行う場合、
「人によって完成した図面のレベルが違う」
というのは、非常に大きな問題です。

いわゆる属人化の問題ですが、手書きで製図を行うと、どうしても属人化してしまいます。

作業レベルを高いレベルで均一にできること。

これもCADを使用するメリットでしょう。

CADを利用したビジネスシーン

ビジネスをおこなう上でCADをどう活かすのか、事例を紹介します。

用途は先にも述べたように設計やデザインが主であることから、CADを利用する業界は建築や土木、製造業などが一般的です。

ただし、単に設計などに利用するだけでなく、様々な業務場面での二次活用が見込めます。

例えば、設計後の実際に製造を進める際において、CADで作成した設計書を基に工程の確認をおこなうことで、作業担当者の理解度合いを平準化することができます。

また、設計から開発までの製品開発全体の作業工程をCADを基に可視化することで、早期に課題点を見つけて解決を図るといった期待があります。

CADは営業活動においても展開の機会があると考えられます。

例えば、3DCADでデザインした商品をカタログやパンフレットに掲載することで、顧客への提案に説得力を加える材料になり得ます。

変化の激しい昨今のビジネスにおいては、特にスピードが重要視されます。

そのようなビジネス環境にもCADは相性がいいといえます。

最近は3Dプリンターの普及が進んでいるため、3DCADで設計したものを試作品として開発することができれば、トライ&エラーの実施が可能です。

設計から開発までをアジャイル式におこない、PDCAを継続することでビジネスに勝機を見出す可能性が高まります。

CADの活用方法、活用シーンは今後も増えると予想されます。

CADソフトの紹介

CADソフトを選択するときの主なポイントは、機能、価格、使用感、サポート体制です。

ここでは3DCADと2DCADそれぞれの代表的なソフトを紹介します。

3DCADソフトの1つ目は、『Fusion 360』です。

設計データはクラウド上で保管できます。

無料版自体はありますが、商用として使う場合は有料版のみ利用可となっています。

3DCADソフトの2つ目は、『Onshape』です。

Fusion 360と同様にデータをクラウドで保管しますが、保管場所はパブリッククラウド上であるため、誰でも閲覧が可能です。

無料版でも機能制限なく利用できますが、商用の場合はデータを非公開にしなければならないため、有料版の利用は必須です。

2DCADソフトの1つ目は、『AutoCAD』です。

数あるCADソフトの中でも高いシェアがあり、海外でも多用されています。

アドオン機能が充実していて拡張性が高く、建築や機械設計などに高い需要があります。

無料版を利用できますが、利用期間が定められているのがデメリットとしてあります。

2DCADソフトの2つ目は、『BricsCAD』です。

上述したAutoCADと高い互換性があり、利便性の高さが好評です。

また、3DCAD機能も兼ね備えています。

さらには永久ライセンスであることから、ランニングコストが発生しないというメリットもあります。

建築や土木、製造業のシステム化もAMELAに

今回は、CADについて見てきました。

CADは、非常に多くの企業で利用されており、一般的にIT化が遅いと言われる建築や土木の業界でも、活用されています。

一方で、それ以外の部分でアナログな事も多く、まだまだDXを進める余地はあると考えられます。

小さな企業であっても、
・職人さんの管理
・給与計算
・利益計算
・在庫管理
など、多くの部分でシステム化は可能です。

AMELAでは、業務システムの開発経験も多く、オフショア開発によって比較的安価な開発も可能です。

あらゆる業界が厳しい今だからこそ、是非システム化をして作業効率を上げて頂きたいと考えております。