インターネットの暗部「ダークウェブ」とは|概要と被害に遭わないための方法を解説

私たちは日ごろから、ニュースや通販サイト、動画、SNSなど、数多くのWebサイトを閲覧していますね。

それらのほとんどは「サーフェスウェブ」と呼ばれるコンテンツで、ブラウザなどでかんたんにアクセスできます。

実は、サーフェスウェブの奥深くには、通常の方法ではたどり着けない「ダークウェブ」という世界が広がっているのです。

高い匿名性を持ち、国家ですらも全容の把握が困難なダークウェブ。

2013年に摘発された、世界最大の闇サイト「シルクロード」をきっかけとして、あらゆる犯罪の温床である危険な領域として世界中にその存在が知られました。

この記事では、ダークウェブがどのようなものなのかを、代表的なトピックとともに見ていきましょう。

また、サイバー攻撃がはびこるダークウェブの被害を受けないために、私たちができる対策を解説します。

ダークウェブとは

広大なインターネットには、大きく分けて
「サーフェスウェブ(表層ウェブ)」
「ディープウェブ(深層ウェブ)」
「ダークウェブ」
の3種類があります。

「ダークウェブ」とは、どのようなものなのでしょうか。

ここでは、ダークウェブの概要と、そこで何がおこなわれているのか、また、ダークウェブと混同されやすいディープウェブとの違いを解説します。

特別な方法を使わなければアクセスできないWebコンテンツ

ダークウェブ(Dark Web)は簡単にいうと
「特殊な方法を使わなければ閲覧できないWebサイトやWebコンテンツ」
のことです。

インターネットには接続するけれど、特別な設定と認証を必要とする「ダークネット」上のコンテンツを指して、ダークウェブと呼ばれます。

Google ChromeやSafariといった通常のWebブラウザでは閲覧することが不可能で、たどり着くためには一定以上の知識が必要であり、その仕組みから、高い匿名性が特徴となっています。

ダークウェブを閲覧するためのソフトウェアとしては、TorやI2Pなどがとくに知られていて、大規模なネットワークを構成しています。

日本では「闇サイト」と呼ばれることもあるダークウェブ(2000年代に問題となった「裏サイト」とは異なります)は、実はインターネットの大部分を占めているとされています。

ダークウェブはその匿名性の高さゆえに、不正アクセスや個人情報の売買、麻薬取引などの違法行為の温床となっており、しばしば世界的な問題となっています。

こうした違法な取引をおこなうサイトを「ブラックマーケット」と呼び、2009年にビットコインが登場したことによって拡大を続けています。

ディープウェブとダークウェブの違い

ダークウェブと混同されるものとして「ディープウェブ(Deep Web)」があります。

日本では「深層ウェブ」とも呼ばれるディープウェブは、一般的なWebブラウザによる閲覧が可能だけれど、通常の方法ではたどり着けない「検索避け」をおこなっているWebサイトのことを指します。

そのため、特殊な方法を使わなければ閲覧すらできないダークウェブとは異なります。

ディープウェブでは、基本的に機密性が高い、あるいはプライバシーに配慮しなければならないやりとりがおこなわれています。

そこにはログインが必要な会員制サイトなども含まれるため、ディープウェブ自体が違法行為に直結するわけではありません。

ダークウェブでは何がおこなわれている?

私たちが日常的に閲覧しているサイトのほとんどは、通常の方法でアクセスできる「サーフェスウェブ」です。

しかし、サーフェスウェブはインターネット全体の10%にも満たないとされており、世界には、ディープウェブとダークウェブによる広大なネットワークが存在しています。

では、特殊な方法でしかアクセスできないダークウェブで、人々は何をしているのでしょうか。

はじめに断っておくと、ダークウェブ全体を把握することはほとんど不可能です。

まず、ダークウェブでは、論文の掲載や研究データの共有といった学術的な活動や、サーフェスウェブのSNSや掲示板とそう変わらないコミュニティの形成などがあります。

そこでは、まだ公開できない研究成果や、匿名性の高いやりとりがおこなわれています。

また、全体主義や独裁体制による情報統制を受けている国民が、取り締まりから逃れて情報交換をするためにダークネットが利用されています。

しかし、ダークウェブにはそれだけでなく、違法行為の温床となっているコンテンツが数多く存在します。

サイバー攻撃によって企業から流出した、クレジットカードや住所、電話番号といった個人情報は、ダークウェブ上で公開・売買されることが多いです。

また、麻薬や銃器、児童ポルノの販売、果ては殺人依頼など、極めて危険性の高い活動がおこなわれているのです。

ダークウェブの閲覧自体は合法ですが、こうした違法行為につながるだけでなく、サイバー攻撃も横行しているため、不用意にアクセスすると、思わぬ被害に遭うことになります。

ダークウェブの歴史とトピック

軍事活動によって生まれた原始のネットワーク。

そこからの隔絶を目的として開発されたのがダークネットです。

そのコンテンツであるダークウェブは、どのようにして生まれ、発展したのでしょうか。

ここでは、ダークウェブの歴史と、重要なトピックをかいつまんで解説していきます。

Freenet

最初期のダークウェブは、イギリスの学生チームによって開発された「Freenet」から始まりました。

当初の目的はP2Pによるファイル共有でしたが、すぐに自由な言論をおこなうプラットフォームへと発展。

2000年にFreenetが一般配布されると、インターネットでの匿名性を求める人々が多く参加し、大規模なネットワークを形成するようになりました。

言論統制下での自由なコミュニティの形成が注目されたFreenetは、通信速度などの課題を解決し、現在も配布されているため、ある程度の知識があれば比較的容易にアクセスすることができます。

Tor

Freenetの登場によって「匿名のインターネット」の需要が増したことで、さまざまなツールが開発されました。

そのなかで、現在もっとも広く利用され、ダークウェブの発展に繋がったのが「Tor(The Onion Router)」です。

Torは、アメリカ海軍が機密通信をおこなうために開発されたオニオンルーティングという暗号化方式を用いることで、国家であっても発信元の特定が困難なネットワークを実現しました。

当初はFreenetと同じくファイル共有が目的でしたが、2008年にTorが広く利用できる形でリリースされたことで、ダークウェブは犯罪の温床となっていきました。

シルクロード

Torとともにダークウェブの存在と悪名を一躍世界に広めたのが「シルクロード」というWebサイトです。

2011年にアメリカで誕生したシルクロードは、最盛期で100万人近くが利用していた世界最大の違法サイトで、Torでのみアクセスでき、支払いは仮想通貨を用いるという特徴がありました。

2013年に運営者が逮捕されて閉鎖されるまで、あらゆる薬物の販売や個人情報、マルウェアの売買などがおこなわれていました。

シルクロードは、その後のダークウェブにおける闇サイトの雛形となり、現在も近いサイトが数多く存在しています。

仮想通貨の登場

ダークウェブは、ビットコインに代表される仮想通貨の登場によって、さらに勢いを増しました。

ダークウェブではドルなどの一般的な通貨はあまり使用されず、仮想通貨による取引がメインです。

また、近年世界を騒がしている仮想通貨の流出事件についても、盗まれた仮想通貨がダークウェブ上で資金洗浄されていることがわかっています。

ダークウェブは仮想通貨の管理にも利用されており、現在は両者の関係は非常に深いものとなっています。

ダークウェブの被害に遭わないために

さまざまな犯罪行為が横行するダークウェブ。

その被害に遭わないために、何をすればよいのでしょうか。

結論からいうと、私たちにできるのは、ダークウェブにはアクセスせず、一般的なセキュリティ対策をすることしかありません。

ですが、こうした基本的な対策がいちばん大切なのです。

そもそもアクセスしない

見も蓋もない話ですが、まずはダークウェブにアクセスしないことです。

ダークウェブではサイバー攻撃が横行しており、重大な個人情報の流出だけでなく、遠隔操作や「踏み台攻撃」など、第三者への被害につながるケースや、知らないうちに違法行為をおこなってしまうといったことになりかねません。

不用意にダークウェブへアクセスすることは非常に危険です。

もしどうしても、職務上アクセスする必要性があれば、時間をかけて知識と技術を身に付け、万全のセキュリティ対策をとりましょう。

セキュリティ対策

たとえダークウェブへアクセスしなくても、私たちはつねにダークウェブの脅威にさらされています。

ダークウェブでは、マルウェアやサイバー攻撃のノウハウがやりとりされており、漏洩した個人情報もダークウェブを漂うことになります。

「ダークウェブの住人」からの攻撃を防ぐために、日頃からセキュリティ対策をおこないましょう。

セキュリティソフトの導入だけでなく、パスワードを使い回さないなどの地道な対策が大切です。

また、個人情報がダークウェブ上に流出していないかを確かめる「ダークウェブモニタリングサービス」というものが存在し、被害の拡大を防ぐために活用されています。

最近では、Googleアカウントで、他のサイトでアカウント情報が流出している可能性などを通知してくれるようにもなりました。

そのため、都度パスワードを変更するなど、一般的な対応をできるだけ即座に行う事も、セキュリティに繋がります。

常にシステムを最新にする

多くの企業でシステムが導入されているかと思います。

その中で、費用の関係上、古いシステムをそのまま利用している事もあるでしょう。

しかし、古いシステムには、脆弱性が残っている事も多く、常にシステムを最新にすることも、1つの対策となります。

もちろん、信用できる企業からのシステムの導入が必須ですし、不必要なシステム導入は逆効果です。

必要最低限のシステム(特にインターネットに接続する仕組みの場合は注意が必要)の導入と、古いシステムの廃止により、リスクを回避できるのです。

セキュリティの高いシステム開発はAMELAに

今回は、ダークウェブについて見てきました。

日々、多くの情報がやり取りされるネット上で、私達の知らない危険なIT技術の活用があることに、驚いたかもしれません。

自社のセキュリティレベルを上げていくことで、これらの驚異から身を守ることは、非常に重要でしょう。

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