アドフラウドとは?仕組みと対策、アドベリフィケーションについてを解説

商品やサービスの認知度向上、理解促進、勧誘、誘致など、
「ユーザーが物を購入に至るまでのプロセス」
において、広告は非常に便利かつ効果的なものです。

その中でもインターネット広告の市場は、著しい勢いで成長を続けています。

一方で、成長に比例してデジタルならではの課題も発生しています。

今回の記事で取り上げるアドフラウドについてもそのうちの1つです。

アドフラウドとは何なのか、原因と課題、およびそれらの対策について解説をします。

アドフラウドとは

アドフラウドとは、デジタル広告で発生する広告詐欺や不正広告のことをいいます。

悪質な業者やハッカーなどが不正な手法を用いることで広告費を騙し取る行為です。

用いられる手口としては様々な方法がありますが、無効なインプレッションやクリックによって広告費を不正に水増し請求する、などといった内容があります。

また、広告費を水増し請求されることで広告主が被害を被るだけでなく、不要なアクセス数が増えることにより、サイト内のアクセス解析に支障が発生するなど、多くの悪影響を及ぼす詐欺行為です。

アドフラウドの被害は世界中で増加傾向にあり、中でも日本はその被害が多いといわれています。

アドフラウドの仕組み

アドフラウドにはシステムの脆弱性をついたものや、プログラムの悪用など様々な手法が使われています。

中でもよくあるのが『ボット』と呼ばれる、一定の処理を自動実行する不正なプログラムを使った行為です。

ここではボットを用いたアドフラウドの仕組みを簡単に解説します。

1.悪質な業者がボットを拡散することでランダムにユーザーのデバイスを感染させ、遠隔操作できる状態にします。

2.デバイスを遠隔操作し、WEBサイトにアクセスしてアクセス数を大量に稼いだ後、そのサイトに広告を出稿します。

3.遠隔操作した端末から広告の表示/クリックをする。もしくは、悪意のあるアフィリエイトサイトから流入を誘導します。

4.インプレッションやクリックによって不正に広告料金が支払われます。

以上がボットを使ったアドフラウドの仕組みです。

アドフラウドによって計上されたクリックは架空のものであるため、実際には何の成果にも繋がりません。

しかし、システム上では広告に対してユーザーのアクションがあったと判別してしまうためにその分の広告費が発生する、ということになります。

もちろん、この方法では数ヶ月もすれば、
「このサイトに広告を出しても、費用対効果が低すぎる」
となって契約が打ち切りになると考えられます。

一方で、Youtubeなどの大きな媒体では、広告主よりも媒体の方が力を持ちます。

その結果、広告費用はオークション形式でうなぎのぼりに高くなるなどがあり、こういった悪意のあるサイトへの広告依頼が後を絶たないのです。

アドフラウドによる影響

アドフラウドは広告主にとってどのような影響があるのでしょうか。

1つ目の影響は、上述したような広告費の不正詐取です。

多くのデジタル広告はユーザーからのクリックがなされるたびに、広告主に対して広告費が請求されるという仕組みを採用しています。

アドフラウドによりクリック数が不要に水増しされてしまうと、その分の不要な広告費が発生します。

また、不正なクリックによる広告の成果が見込まれることはないため、広告主にとっては広告費の払い損となってしまいます。

アドフラウドの2つ目の影響は、ブランドイメージが損なわれる可能性があることです。

アドフラウドの標的になることで、広告主が意図していないようなサイトや、公序良俗に反するようなサイトやアダルトサイトなどに広告が表示されることがあります。

例えば、誠実さや真面目さを謳い文句としている企業が、アドフラウドの標的になりアダルトサイトなどに広告掲載されてしまった場合、会社の評判を悪くしたり、信用を失うなどといったリスクが考えられます。

3つ目は正確なデータ分析が困難になるということです。

アドフラウドの標的になることで、本当にニーズがあって広告をクリックしたユーザーなのか、不正なクリックなのか区別をつけるのが難しくなります。

そのため、どこのサイトから流入してきたのかなど、ユーザーの動線が不明瞭になるため、正確なマーケティング分析やアクセス分析をおこなうことができなくなります。

以上のようなアドフラウドによる影響について解説をしましたが、これらの詐欺被害について広告主が気付きにくいという点も大きな問題とされています。

仮に、そのサイトからの売上が、0円の状態が何ヶ月も続けば、広告主としても気付く可能性があります。

一方で、サイトへのアクセスの9割がアドフラウドによるもの、1割が本当のアクセスだったとします。

すると、1割のアクセスから多少なりとも売上が発生します。

そうなると
・広告詐欺
・広告の出し方が悪いために成約率が低い
・広告をクリックした先で、成約率の低いLPを使っている

これらの違いがはっきりと判別出来ない可能性があります。

詐欺の被害に遭っていることに全く気付くことなく、長期間にわたり不正に広告費を詐取されているケースは少なくありません。

アドフラウドの種類

アドフラウドにより被る影響について解説しましたが、アドフラウドの手口はいくつもあります。

ここでは、アドフラウドにはどのような種類があるのかを紹介します。

隠し広告

隠し広告とは、目立たないように広告を配置することで広告の配信数を水増しするという手口です。

ユーザーの目に留まらないほどの小さなスペースに広告を挟んだり、広告を透明にして表示させたり、別の広告に重ねて表示させたりといった様々な手法があります。

ユーザーが気付いていなくとも、広告自体は表示されたものとして認識されてしまうため、表示数が増えることで広告費もそれに比例して増えてしまいます。

隠し広告は、普通にスクロールしているつもりなのに、急に別のサイトに飛ぶなど、ユーザーのミスクリックと同様に、成約がほとんど見込めない広告です。

不正クリック

ボットなどによる自動プログラムにより不正にアクセス数を増やして、サイト運営者から金銭を得るという、アドフラウドの代表的な手口です。

アフィリエイトサイトからのアクセスやクリック数を増やして不正に金銭を詐取する他、アクセス解析が困難になります。

また、これに加えて、ユーザーがアクセスしているサイトを自動的にリロード更新し、広告の表示回数を水増しするなどといったケースもあります。

広告主にとってはクリック数が増えれば増えるほど広告費を請求されるため、クリック数で課金されるタイプの広告を出稿している場合は特に注意が必要な手口です。

なりすまし

なりすましは、サイトのドメインを偽ることで正規のサイトになりすます手口です。

そのサイトで実際は全く閲覧されていないにもかかわらず、広告料を不正に請求してきます。

インストールハイジャック

インストールハイジャックとは、ユーザーの端末をウイルスに感染させ、アドフラウドに利用するという手口です。

ユーザーが何かのアプリをインストールした際に、インストール後もユーザーの意思とは関係なく通信がおこなわれます。

そして実際にユーザーは広告を閲覧していないにもかかわらず、閲覧したと見なされてインプレッションやクリック数が不正に水増しされます。

デバイスファーム

デバイスファームとは、大量のスマートフォン端末を使ってクリックやインストールを繰り返し、その数を不正に水増しすることで広告費を詐取するという手口です。

また、複数の端末を使用せずに1つの端末でIDを何度もリセットすることで、別の端末からインストールがあったかのように見せかけるような行為もおこなわれています。

アドフラウドへの対策

アドフラウドは広告主にとって大変迷惑なものです。

ではアドフラウド対策のために何ができるのでしょうか。

最近ではアドフラウド対策のツールやソフトなどが開発されています。

不正アクセスの検知

サイト訪問者の情報や行動を追跡できるツールを使い、不審な動きをモニタリングすることでアドフラウドを防ぐことができます。

短時間で大量にアクセスをしていたり、表示回数は多いが問い合わせに繋がっていないアクセスなど、不正な動きをするユーザーを特定し、そのユーザーに対しては広告を表示させないようにするといった対策を講じることが可能です。

出稿先の精査

アドフラウドの標的になると、意図していない不適切なサイトに広告が表示されます。

そのような場合に、出稿先の精査をすることでアドフラウドの被害を防げます。

不適切なサイトはもちろん、表示回数は多いが成果に繋がっていないサイトなどを特定し、出稿先から除外するなどといった対策ができます。

単純な方法としては、
「複数の広告媒体に予算を分散させて試験的に運用する」
という方法が考えられます。

例えば、YoutubeやGoogleなどでの広告を併用して運用することで、
・同じバナー
・同じLP
での広告売上の比較が可能です。

費用対効果の『相見積もり』のイメージです。

そうすることで、最適な広告先を選ぶことが出来れば、費用対効果は良くなるでしょう。

ただし、この方法でも前述したリスクの
「ブランドイメージを崩す可能性がある」
という懸念は残ります。

そのため、サイトを運営している企業についても調べておく必要があるでしょう。

アドベリフィケーションツールの導入

アドベリフィケーションツールとは、広告主にとって意図していない、イメージ低下を招くようなサイトなどに広告が掲載されていないかをリアルタイムで検知、および防止をおこなうツールのことをいいます。

不正クリックの判断や適切なサイトに広告表示がなされているかなどのチェックが可能です。

大量のアクセスが伴うサイトなど、不正アクセスの検知や精査に負担が伴う場合などは、このツールを使ってアドフラウド対策を効率化することが期待されます。

アドベリフィケーションの仕組みと役割

アドベリフィケーションとは、前項で少しだけ触れましたが、
「インターネット広告を検証する仕組み」
のことです。

アドベリフィケーションをおこなうことで、以下に述べる対策を講じることができます。

ブランドセーフティ

ブランドセーフティとは、意図しない広告配信によるブランドイメージの低下を防ぐことをいいます。

上述したように、広告配信を利用すると、場合によっては広告主が意図しない配信先に広告が表示されてしまう可能性があります。

意図しない広告配信は企業ブランドを傷つける恐れがあるため、ブランドイメージと一致する、確実かつ安全なサイトへ広告出稿することを目指します。

ビューアビリティの保証

ビューアビリティとは、広告が正しく表示されているのか、また、ユーザーに適切に見てもらえているのかを確認することです。

配信した広告の中身が本当にユーザーに見てもらえているかはわかりません。

例えば画面スクロールをする際、その画面の一番下に広告が表示されると、広告を見る前にサイトから離脱するケースが増えます。

また、広告のインプレッション数に応じて広告費が増える仕組みの場合、クリックしてもユーザーに中身まで見てもらえていないのであればコストだけ発生していることになります。

このように、広告の閲覧状況を精査することで広告運用の改善が期待できます。

以上のような対策を講じることで、一部のアドフラウドの被害を防ぐことができます。

アドフラウド対策ならAMELAに

今回は、アドフラウドについて見てきました。

広告による集客は、年々注目されています。

その大きな理由は、売上の即効性にあると考えられます。

自社でサイトを作って、SEO対策をしていけば、確かに費用は人件費程度で済みます。

一方で、中長期間運用が必要であったり、常に競合他社サイトと競い続ける必要があるでしょう。

ですが、ネット広告なら即日売上が上がる可能性がありますし、小さい予算からでもトライアンドエラーをすることが出来ます。

このような状況の中で、広告を使わないことは、デメリットしかないと言えるでしょう。

そのため、今回お話したアドフラウド対策は、多くの企業に必要だと考えられます。

もしも現状、広告の費用対効果が低いと感じている場合や、これから広告を出そうと考えている企業様は、是非AMELAにご相談下さい。

アドフラウド対策ソフトの導入や、ツールの開発など、様々な提案をさせていただきます。