メタバースとは?定義やDX・ビジネスとの関わりを解説

メタバースという言葉を最近よく耳にするようになりました。

しかし、改めて
「メタバースとは何か」
と聞かれると、答えられない人も多いのではないでしょうか。

メタバースはTHE SANDBOXやStar Atlasのようなゲームばかりでなく、ビジネスでも注目されています。

今回は、読者の皆様の多くが関心を寄せる「DX」を切り口に、メタバースをビジネス面から捉えなおし、それらとの関連について解説していきます。

メタバースとは

メタバース(meta-verse)とはインターネット上の仮想空間で、自身はアバターとして参加し、他者とコミュニケーションできるものを指します。

メタバースの定義

メタバースについては確定的な定義はありませんが、一般社団法人 次世代社会システム研究開発機構(INGS)刊の
「メタバース/VX(バーチャルランスフォーメーション)白書2022年版」
では次のように定義しています。

(INGSの定義)
メタバースとは、インタラクティブで没入感のある協調的な仮想世界環境であり、現実世界と同等のコミュニケーションや経済活動ができるオンライン上のバーチャル空間である。

また、Salesforceは2022年6月に公開した記事
「企業によるメタバース市場への参入とSalesforceの予測」
の中で以下のようにメタバースを説明しています。

(Salesforceの説明)
メタバースとは基本的に、数多くのデジタルワールドで構成されたコンピュータによって生成された広大な仮想空間を指します。

この説明の中で、「現在のメタバースはまだ初期段階ですが、すでにデジタル不動産、バーチャルグッズ、デジタル通貨が活発に流通している」としています。

ビジネスで注目されるメタバース

まずは、デジタル化の「ビジネスにおける立ち位置」の変化について考えてみましょう。

これまではデジタル技術が手段として導入された時代

これまでは、データやデジタル技術が手段として位置づけられていました。

例えば、テレワークの推進は働き方に変革をもたらしました。

DXは、働き方以外にも、業務プロセス、顧客や取引先とのやりとり、商品・サービス、ビジネスモデルを
「デジタルに適応」
させ、最終的には企業の組織や人材、制度、文化・風土まで「変革」する取り組みです。

あくまでも既存のビジネスが存在し、それに対して必要な部分でデジタルを活用してきた・・・という時代でした。

今後はデジタルが前提となっている時代

デジタルが前提となる時代には、企業を取り巻く社会や経済活動全体が高度にデジタル化されています。

そうなると、企業の目指す姿としては、
・働き方や業務プロセス
・顧客や取引先とのやりとり
・商品/サービス
・ビジネスモデル
・意思決定や組織運営の方法
・組織カルチャ
など、全てがデジタルを前提に組み立てられる企業です。

このような時代には、デジタル的な手段を最優先に使い、アナログ的な手段の利用を極力避ける「デジタルファースト」の考えが日常化するでしょう。

言い換えるなら、
「必要な部分でデジタルを使う時代」
から
「必要な部分でアナログを使う時代」
になると考えられます。

例えば、今はまだネットからの問い合わせにおいて、チャットボットよりもオペレーターとの通話を希望する人も多いです。

柔軟な対応やリアルタイムなリアクションが難しいチャットボットでは、今すぐに解決したい問題を解決できないこともあるでしょう。

これが、チャットボットで問題解決が当たり前。どうしても老眼など身体的な理由でオペレーターとの通話を希望する人が稀にいる。

こういった状態になっていくと考えられます。

更に、メタバースの時代へ

上で述べた「デジタルファースト」の世界は現実世界の話です。

デジタル化が進み、その先にある世界が現実の世界と仮想世界を融合した「メタバース」の世界です。

メタバース化が勧めば、電脳世界でアバター同士でコミュニティを作ったり、買い物をするなど、様々な展開が考えられます。

メタバース関連の技術やサービス

ここでは、ビジネスに変革をもたらすメタバース関連の技術やサービスを紹介します。

バーチャル会議

バーチャル会議で効果的なコラボが実現し、よりクリエイティブな会議になるでしょう。

バーチャル会議の先進事例として、2021年8月にMeta(旧Facebook)が発表した「Horizon Workrooms」を使った編集会議の例を紹介しましょう。

打ち合わせは、会議室で関係者数人が机を囲んで行いますが、
・画面には会議室で関係者(アバター)数人が机を囲んで会議する様子が映しだされる
・アバターの仕草が相手に自然に伝わる
・コントローラなどの操作で身振りや手振りも伝わる
・Workrooms内は立体音響になっているため、声が発言者のアバターの方から聞こえてくる
・話すときには声に合わせ口も動く
など、臨場感や没入感は極めて高いということです。

これが一般製品として販売されるレベルになり、且つ5Gが一般的になれば、現在WEB会議で起こっているような
「オンラインだと、相手が話し始めようとしているかわからずに、話し出しが被る」
「相手の表情がわかりにくく、感情が分からないため、離職率が上がる」

などの問題が解決されるかもしれません。

なお、直接会わずに効果的なコラボレーションを実現するために、Horizon WorkroomsとZoomはタッグを組みました。

両者は、仮想世界と現実世界の両方から相互に接続できるようにするサービスを今年中に始めることを表明しています。

これにより、今年中には
「Zoomホワイトボードをどこからでもアクセスできる」
ように機能アップしますから、ブレーンストーミングなどに有用な機能が充実するでしょう。

デジタルツイン

デジタルツイン技術は、仮想空間に物理空間の双子のような環境を再現させるものです。

仮想空間としてメタバースを利用する試みが様々なされています。

この試みでは、現実とメタバースの両方をリンクさせ、メタバースを現実の延長線上で扱うことを可能にしています。

そのために、現実世界の物理的な実体とはIoTやコネクテッドセンサーを用いて、メタバースのアイテムと動的にリンクさせます。

このようにして作られたデジタルツインで、対面と仮想を融合した医療健康管理や労働環境(対面やリモートなど勤務形態に柔軟に選択可能)などが実現できます。

ブロックチェーン技術

メタバースの普及拡大をもたらしている要因の一つに「ブロックチェーン技術」があります。

ブロックチェーン技術は、分散型台帳に記載された資産が「本物であること」を証明するものです。

ブロックチェーン技術を基盤とする仮想通貨が普及していますから、仮想通貨を利用すれば手数料を削減でき、お金のやり取りを安全で安価に行うことができます。

メタバース内は仮想通貨での取引が多く、アバターやアイテムなどの売買が可能です。

また、ブロックチェーン技術を応用した技術にNFT(非代替性トークン)があります。

NFTはデジタル作品を複製不可能にする技術で、アート作品などの複製を防止します。

このため、アート関連のデジタル作品なども安心してメタバース内に出店し、売買できます。

メタバースによるDX

メタバースには、「DXを推進」するのに役立つサービスがあります。

また、メタバースのサービスや技術を「DXによる企業変革」のために「利用」したり、何らかの形でメタバースを「目標」に取り込んだりする動きが今後増えてくるでしょう。

DX推進環境をメタバースで整える

DX推進環境を整えるのにメタバースが役立つことを、「バーチャル会議」を例に説明します。

DXの進め方

DXを成功に導くには以下の手順に従って進めることが大切です。

(手順1)DXの目的を明確化する:経営層が自らDXによって達成したいビジョンを明確にし、トップダウンで施策を進めること。

(手順2)DX推進のための体制を作る:仮説検証から施策の実施、結果の分析というPDCAサイクルを回せる組織にすること。

(手順3)現状課題の可視化:既存のビジネスフローやビジネスモデルなどを分析し、何が問題かをはっきりさせること。

(手順4)デジタル化の実行:課題解決方法を決め、ITツールなどを活用してデジタル化を実行すること。

(手順5)評価と見直し:既に導入されているシステムや機器などの棚卸・評価を行い、見直しの必要性の有無を明確にし、必要に応じて改善案を立案していくこと。

この際、現行システムのハードウェアを高性能なものにスケールアップすることで、保守コストや運用コストを下げたり技術的負荷を無くしたりする効果が生まれるので、その点にも留意しましょう。

クリエイティブな打ち合わせがリモートでも可能に

前項「DXの進め方」手順1~5を実施する中で、様々な「会議」や「打ち合わせ」を頻繁に行う必要性が生じますが、コロナ禍で出社できなかったり、地方から出張して参加するための負荷が大きかったりして、会議や打ち合わせを開きにくいです。

DX推進する会議や打ち合わせの中には、情報共有を目的とするもの以外に、何かを生み出すための「クリエイティブな打ち合わせ」も多くあります。

例えば、Horizon WorkroomsとZoomがタッグを組んで実現する「バーチャル会議」を使えばクリエイティブな打ち合わせがリモートでも可能になりますから、DX推進に役立つでしょう。

DXによる企業変革をメタバースで実現

次に、メタバースがDXによる企業変革の「手段」になったり、何らかの形で「目標」になったりすることを述べます。

メタバースは企業変革の手段になる

自動車メーカーのBMWはデジタルツイン技術を応用して、工場をメタバース上に複製し
「人間とロボットが助け合って、1台1台異なった自動車を製造する」
ことをシミュレーションしました。

ブロックチェーン技術も、企業改革としてよく使われている技術です。

ブロックチェーン技術を利用した事例としては
・データ共有により、メーカーと商社間にサプライチェーンを構築
・仮想通貨による少額代金の支払い
などがあります。

メタバースに参入を検討ならAMELAに

今回は、今話題のメタバースについて見てきました。

まだまだ新しい分野なだけに、
「自社がどのように参入していくのか」
という点で、疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、これらのメタバース上でサービスや商品を販売するというのは、非常に大きなチャンスが有ることも事実でしょう。

今の段階から、少しずつ準備をしていくことが望ましいです。

そんな中で、今の企業の課題を先にIT化によって解決することが優先される企業も多いです。

是非、一度AMELAにご相談いただければと思います。