ベンチャーキャピタルとは?簡単にわかりやすく解説します

これから事業を始める方の多くが「ベンチャーキャピタル」という言葉を耳にしたことが多いと思います。しかし、実際にベンチャーキャピタルと関わったことがないと、具体的にどのようなことをおこなっている機関なのかよくわかりませんよね。そこでこの記事では、ベンチャーキャピタルの概要について簡単にわかりやすく解説します。

ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルとは、未上場のベンチャー企業の株式を取得し、その企業が上場した際にその株式を売却して利益を得ること目的とするファンドです。ベンチャーキャピタルは大きな売却益を得られる可能性がある一方で、投資した企業が上場しなければ、その資金は無駄になってしまうというリスクがあります。そのため、ベンチャーキャピタルはハイリスクハイリターンの投資をしたい投資家が好みます。

ベンチャーキャピタルから投資してもらう3つのメリット

ベンチャーキャピタルから投資してもらうメリットは、以下の3つです。

  1. 財務状況が改善してより資金調達しやすくなる
  2. 投資家からのアドバイスを受けられる
  3. 積極的に事業提携先を紹介してもらえる

では、それぞれについて解説します。

1.財務状況が改善してより資金調達しやすくなる

ベンチャーキャピタルから投資してもらうことで、一時的に財務状況がよくなります。そうなることで、金融機関などから財務状況が健全であると判断され、出資してもらいやすくなります。また「ベンチャーキャピタルから投資してもらっている」という事実も、事業成長の期待度が高いという証にもなることため、さらに金融機関などからの資金調達を後押ししてくれるでしょう。

2.投資家からのアドバイスを受けられる

ベンチャーキャピタルの投資家は、事業を成功させるノウハウを持っています。またベンチャーキャピタル側としても、投資先の事業を成功させることによるメリットがあるため、積極的にノウハウを提供してくれます。ベンチャーキャピタルからのアドバイスにより、経営はより円滑に進んでいくでしょう。

3.積極的に事業提携先を紹介してもらえる

ベンチャーキャピタルかた投資をしてもらうことで、事業提携ができるチャンスが増えます。なぜなら、ベンチャーキャピタルは救数の事業に投資していることがあり、それらを事業提携させることで相乗効果(シナジー効果)が得られるかもしれないと考えているためです。つまり、ベンチャーキャピタル側にもメリットがあるため、積極的に事業提携先を紹介してもらえるのです。

ベンチャーキャピタルから投資してもらうことによる2つのデメリット

ベンチャーキャピタルから投資してもらうことによるデメリットは、以下の2つです。

  1. 経営への干渉を受けることがある
  2. 株式買取を迫られる可能性がある

では、それぞれについて解説します。

1.経営への干渉を受けることがある

ベンチャーキャピタルとしては、投資のリターンを得るために何としても投資先の事業を成功させたいため、経営に干渉してくることがあります。適度なアドバイスであればむしろありがたいのですが、中には過度な干渉をしてくるケースもあり、そうなると経営が思いどおりに進まなくなってしまいます。特にベンチャーキャピタル株式の保有率が50%を超えると、経営権を奪われてしまうため、株式の発行数には要注意です。
​​​​​​

2.株式買取を迫られる可能性がある

ベンチャーキャピタルから出資を受けても、必ずしも事業が順調に成長するとは限りません。そうなった場合、ベンチャーキャピタルは投資資金を損することになるため、株式の買取を迫ってくることがあります。したがって、ベンチャーキャピタルから出資を受ける際は、事業を成功させるためにビジネスモデルをしっかりと練らなければなりません。

ベンチャーキャピタルの7つの種類

ベンチャーキャピタルの種類は、大きく7つに分けられます。

  1. 金融機関系ベンチャーキャピタル
  2. 政府系ベンチャーキャピタル
  3. 独立系ベンチャーキャピタル
  4. コーポレートベンチャーキャピタル
  5. 大学系ベンチャーキャピタル
  6. 海外系ベンチャーキャピタル
  7. 地域特化型ベンチャーキャピタル

では、それぞれについて解説します。

1.金融機関系ベンチャーキャピタル

金融機関系ベンチャーキャピタルとは、文字どおり銀行や保険会社などの金融機関が運営主体となっているベンチャーキャピタルです。金融機関ベンチャーキャピタルの場合、投資金額や投資数が大きくなることが多いです。また、金融機関としての強みを生かした事業連携や経営支援などが期待できます。

2.政府系ベンチャーキャピタル

政府系ベンチャーキャピタルとは、公共機関が運営主体となっているベンチャーキャピタルです。なぜ公共機関が投資をおこなうのかというと、投資によって国内企業の活性化が期待できるためです。特に高い技術を持つ中小企業は、政府系ベンチャーキャピタルからの支援を受けやすくなります。

政府系ベンチャーキャピタルは、民間のベンチャーキャピタルと比べて、利益の大きさよりも安定性を求めています。また、成長支援などのサポート力小さい代わりに、特定の企業色がつかずに資金調達できる可能性が高いです。

3.独立系ベンチャーキャピタル

独立系ベンチャーキャピタルとは、親会社を持たずに投資をおこなうベンチャーキャピタルです。系列会社がないため、事業提携のチャンスは少ないですが、その代わり事業のしがらみを気にせずに出資を受けられます。

4.コーポレートベンチャーキャピタル

コーポレートベンチャーキャピタルとは、事業会社が運営主体のベンチャーキャピタルです。そのため、出資者である事業会社と近い事業をおこなっている場合、経営支援や業界での販路開拓などの支援を受けられるチャンスがあります。事業会社側としても、投資によって自社にはない知見が得られるというメリットがあるため、コーポレートベンチャーキャピタルは近年増加してきています。

5.大学系ベンチャーキャピタル

大学系ベンチャーキャピタルとは、その名のとおり大学が運営主体となっているベンチャーキャピタルです。大学ベンチャーキャピタルは、その大学の研究に関連する企業や研究結果を活用した企業を投資対象としています。

6.海外系ベンチャーキャピタル

海外系ベンチャーキャピタルとは、文字どおり海外に拠点を置くベンチャーキャピタルです。海外系ベンチャーキャピタルは、日本企業と比べて規模が大きいため、投資額も大きなる傾向があります。

7.地域特化型ベンチャーキャピタル

地位特化型ベンチャーキャピタルとは、特定地域の産業活性化や資源の利用を目的に設立されるベンチャーキャピタルです。多くの場合、地方銀行が主体となっています。地域に密着した事業を展開していく場合、資金調達してもらいやすくなります。

ベンチャーキャピタルを選ぶ際の3つのポイント

ベンチャーキャピタルを選ぶ際のポイントは、次の3つです。

  1. 事業の成長に必要なサポートをしてくれる
  2. 事業に関係する提携先がある
  3. 新しいファンドを出している

では、それぞれについて解説します。

1.事業の成長に必要なサポートをしてくれる

ベンチャーキャピタルは、事業成長のためのサポートをしてくれますが、それが本当に事業に必要なものである必要があります。なぜなら事業に合わないサポートは、かえって事業の成長を停滞させてしまう恐れがあるためです。そのため、事前にどのようなサポートをしてくれるのか確認しておきましょう。

2.事業に関係する提携先がある

ベンチャーキャピタルに、事業に関係する提携先があると、事業提携できるチャンスがあるためなお良しです。事業が拡大することでベンチャーキャピタル側にもメリットがあるため、積極的に提携先を紹介してもらえるでしょう。

3.新しいファンドを出している

新しいファンドを出しているベンチャーキャピタルは、人気があると考えられます。また、新しいファンドが出せているということは充分な資金があると考えられます。そのため、比較的大きめの金額を投資してもらえるかもしれません。

ベンチャーキャピタルから出資してもらう5つの方法

ベンチャーキャピタルから出資してもらう方法は、次の5つです。

  1. 直接連絡する
  2. 知人に紹介してもらう
  3. イベントやビジネスコンテストに参加する
  4. 公共機関を利用する
  5. 金融機関から紹介してもらう

では、それぞれについて解説します。

1.直接連絡する

ベンチャーキャピタルには、メールや電話などで直接連絡ができます。そこから事業計画書を送ったり、面談のアポを摂ったりしましょう。ただし、他の多くの企業も同じような方法でベンチャーキャピタルに連絡していることが多いため、必ずしも接触できるとは限りません。

2.知人に紹介してもらう

もし既にベンチャーキャピタルから出資を受けている知人がいれば、高確率で紹介してもらえます。また知人からベンチャーキャピタルを紹介してもらうことで、投資方針やサポート内容など、ベンチャーキャピタルに関する情報を共有してもらえるというメリットもあります。

3.イベントやビジネスコンテストに参加する

ベンチャーキャピタルは、イベントやビジネスコンテストに協賛していることがあります。したがって、これらを通じてベンチャーキャピタルとの接触ができます。もしイベントで目立ったり、ビジネスコンテストで入賞したりすれば、ベンチャーキャピタルの目に留まるかもしれません。

4.公共機関を利用する

商工会議所や中小企業基盤整備機構などの公共機関は、中小企業に対してさまざまな支援をおこなっています。そしてその支援の一環として、資金調達のためにベンチャーキャピタルを紹介してくれることがあります。公共機関を使うのは、特に政府系のベンチャーキャピタルと接触を図りたい場合におすすめです。

5.金融機関から紹介してもらう

金融機関の中には、子会社にベンチャーキャピタルを抱えているものもあります。もし金融機関に事業内容や将来性を評価してもらえれば、積極的にベンチャーキャピタルを紹介してもらえるでしょう。

ベンチャーキャピタルから出資を受ける手順

ベンチャーキャピタルから出資を受ける手順は、以下の5ステップです。

  1. ベンチャーキャピタルとコンタクトをとる
  2. ベンチャーキャピタルから要求された書類を用意する
  3. 審査を受ける
  4. 監査法人からレビューを受ける
  5. 投資契約交渉をする

では、それぞれについて解説します。

1.ベンチャーキャピタルとコンタクトをとる

まずは、先述の方法でベンチャーキャピタルとつながりましょう。

2.ベンチャーキャピタルから要求された書類を用意する

ベンチャーキャピタルとのコンタクトが取れたら、事業計画書や財務諸表などの必要書類を用意します。ベンチャーキャピタルは、それらをもとに審査をおこないます。

3.審査を受ける

ベンチャーキャピタルと数回面談をおこない、本格的に出資を検討してもらえるようになったら、いよいよ審査です。

4.監査法人からレビューを受ける

投資の可否が決まる前に、監査法人からレビューを受けます。レビューを受けるのは、会社の決算書や社内体制などです。収益の水増しや、費用の過少計上なども細かく見られる、ため要注意です。

5.投資契約交渉をする

審査を経て、ベンチャーキャピタルが投資に前向きになったら、投資契約交渉をします。交渉の中で定めるのは、投資金額や持ち株比率などです。合意に至った場合は、投資契約書を交わします。

まとめ:ベンチャーキャピタルからの出資を検討してみよう

ベンチャーキャピタルから将来性を評価してもらえれば、出資を受けられるチャンスがあります。事業提携先を紹介してもらえたり、経営のためのアドバイスをもらえたりするというメリットもあるため、ぜひ資金調達の手段として検討してみてください。

また当社は、新規事業のサポートもおこなっています。もしご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。