テレワーク中のサボりはどう改善する?心理状況・テレワークの問題点と合わせて解説

コロナをきっかけに、多くの企業にとって働き方は大きく変わってきました。

オンライン戦略に力を入れる企業も多く、飲食業界では宅配サービスが一気に加速しました。

そんな中でも、大きな変化が「テレワーク」でしょう。

日本人の多くが
「結局顔を突き合わせてコミュニケーションしなければ・・・」
と言っていたのに、案外仕事はテレワークでも回っている事に驚いた人もいるでしょう。

そんなテレワークですが、いくつか問題点を抱えており、その一つが「サボり」です。

今回はそんなテレワークに関するサボりの心理や改善方法について触れていきましょう。

感染症の蔓延を期に普及したテレワーク

テレワークは、1990年代前半から現在の総務省によって推進されてきました。

2010年代の前半に、テレワークの普及率は20%を超えることもありましたが、その後は10%台を推移しています。

しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、その状況は一変しました。

総務省の調査によると、テレワークを実施している企業の割合は2020年3月に17.6%でしたが、緊急事態宣言が発出された2020年5月には56%を超えています。

また、内閣府の調査によると就業者ベースでは、2020年5月には27.7%の就業者が実施しており、2021年9-10月にはその割合は32.2%まで増加しています。

東京都では、テレワークの普及が全国平均よりも顕著に進んでいて、緊急事態宣言中であった令和3年8月中には65%の企業がテレワークを導入していました。

2022年6月には、NTTグループが2022年7月から主要7社の従業員3万人程度に対してテレワークを導入する、というニュースが話題になるなど、現在テレワークという働き方がこれまで以上に注目されています。

テレワークには、多様な人材が雇用できる、生産性の向上が図れるなどのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。

なかでも注目度の高いデメリットとして、勤務中にサボりやすいという点があげられます。

テレワーク中にサボったことがある人はどれくらい?

テレワーク中のサボりは、どの程度発生しているのでしょうか。

アンケート結果をもとに、サボりについて考察します。

テレワーク中のさぼり経験者は69%?

SAT探偵事務所が20〜50代の営業職200人に行ったアンケートによると、テレワーク中にサボった経験があるのは回答者のうちの69%という高い割合です。

サボりの原因は、
・まわりの目や監視もないので気になっていた動画をしばらく見続けた。
・少しぐらいなら誰にもバレないからいいかと思った。
・業務報告が不要な環境なので、サボってもタスクをこなしていれば問題ない。
など、監視がないことを起因とするもの

・家は休む場所であると定着しているせいか、仕事スイッチが入らない。
・一日中家の中にいて、集中力が欠けてしまった。
など、自宅であることを起因とするものがあったとのことです。

このアンケートはインターネットを通じて行ったアンケートで、質問内容は
「テレワーク・リモートワーク中にサボった経験はありますか?」
というものです。

69%と非常に高い数値になっている理由の1つに、サボりについて定義せず、個人の価値観に任せているため、自責感が強い人ほどサボりについて厳しく判断したことがあるのではないでしょうか。

つまり、出社している時に比べて多少なりとも
・休憩が多くなった
・集中できない
という人は、これらの数値よりも多くなる可能性があります。

サボるとはどういうことか

短時間の昼寝が午後のパフォーマンスを向上させることは、現在では広く知られています。

しかし、自責感の強い人は、この昼寝をサボりとするのではないでしょうか。

1日の勤務を通じて、もっとも生産性を高めるための休憩と考えるのであればサボりではない、ともとらえられます。

作業効率向上のための休憩は、サボりには含まれないとすれば上記のアンケート結果は多少変わるかもしれません。

サボる職員が働くことの重要さ

VODサービスを提供する有名企業Netflixは、以前全社員の3割の職員を解雇したことがあります。

その際、言い方が少しきついですが、社員を「優秀な人材」「足を引っ張る人材」にわけ、「足を引っ張る人材」を解雇しています。

3割の職員がいなくなることでリソース不足になることが心配されたNetflixですが、その後仕事の質が高まり、業務スピードも上がったため業績を回復しました。

日本では法律上、解雇することは難しいです。

しかし、「足を引っ張る人材」にきちんと働いてもらうことの重要性はNetflixの事案から理解できます。

サボりの原因はテレワーク?

テレワーク中にサボる人が多いとのアンケートを紹介しましたが、別の視点から調査し、テレワークとサボりの相関性が低いことを示した調査結果もあります。

このアンケートについて、考察をします。

テレワークでサボる人は出社してもサボる

マネー現代によると、在宅勤務をしている625人のPCログ解析およびアンケートによって勤務中のサボりを調査したところ、約14%がサボっていたことがわかったそうです。

そして、追跡調査をしたところ、サボっていた人のうち94%は出勤をしてもサボることがわかったそうです。

サボる原因は環境だけではなく意識にもある

上記の調査からわかることは、テレワークに限らず仕事をサボる人は、環境がどうであれサボることが常態化しているものと考えられます。

これは、その人の意識の問題でもあり、その人の意識を高く維持できない組織の問題でもあるでしょう。

そのような人の意識を変えることは非常に難しいことで、Netflixのように解雇できるならその方が簡単でしょう。

解雇が難しい日本では、意識を変えるための方法を検討することが現実的な解決方法でしょう。

仕事をサボる心理

サボる人の意識を変え、サボりを減らすにはどうしたら良いのか?

仕事をサボる根本的な心理には、モチベーションの低さと自制心の欠如が考えられます。

この2つの点から、仕事をサボる人の意識をどう変えられるのかを説明します。

モチベーションを維持する方法

情報メディア「フリーランスガイド」が、リモートワークをしている会社員を対象に、リモートワークで困ったことについてアンケート調査を行いました。

アンケート結果の上位に、「やる気が出ない・仕事以外の誘惑が多い」という項目があります。

これはモチベーションの維持により解決する問題であると考えられます。

そもそも、モチベーションとは動機づけのことであって、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能のことです。

85年以上前に販売され、日本でも発行部数が累計500万部以上のベストセラー、D・カーネギーの「人を動かす」には、
・人を動かすための原則
・人を説得するための原則
・人を変える原則
などの原則が書かれています。

この書籍に、モチベーションの維持に大きく関わると考えられる方法が書かれています。

それは、人を動かす原則の中の1つ「重要感を持たせる」です。

ここでの重要感とは、重たい責任を課す・・・と言った意味合いではなく、
「その人の存在が重要だと本人が思えるようにする」
という意味合いになります。

D・カーネギーは、この書籍の中で、心理学者ウィリアム・ジェイムズの言葉
「人間の持つ性情のうちで最も強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである。」
を、アメリカの思想家エマーソンの
「どんな人間でも、何かの点で私よりも優れている。私も学ぶべきものを持っている。」
という言葉と合わせて紹介しています。

そして、その気持ちを満たし、人を動かす原則を「率直で誠実な評価を与える」こととしています。

つまり仕事をさせる側の人が
「仕事をする人たちの長所を見つけ出し、嘘ではない心からの賞賛を与える。」
ことが、モチベーションの維持のため方法のひとつです。

自制心を制御する方法

自制心とは、
「誘惑や衝動に直面した際に、自己の意思で感情、思考、行動を抑制すること。」
「短期的利得が長期的損失あるいは長期的利得と対立する状況下において、長期的結果を選ぶ能力」
などとされる力です。

アメリカの心理学者で、行動分析学の創始者であったバラス・スキナーは研究の中で、人が自分を制御する方法として9つの方法をあげています。

1 身体拘束や物理的支援
物理的な環境調整により、ある動作をやりやすくしたり、他の動作を難しくする。

2 刺激を変える
行動を誘発する機会を操作することで、行動自身を変化させる。

3 欠乏と飽和
欠乏・飽和の状態をコントロールすることで、自分自身の行動を操作する。

4 感情状況を操作する
ある反応を引き出すために、感情的な状況を操作する。

5 嫌悪感を使う
嫌悪的な刺激は、対象となる行動をとる可能性を増減させる。

6 薬
特定の種類の薬物は、セルフコントロールに影響を及ぼす。

7 オペラント条件づけ
報酬や嫌悪刺激(罰)に適応して、自発的にある行動を行うように、学習すること。

8 罰
望ましくない行動に対して、自分で自分に罰を与えること。

9 何か他のことをする
応答とは関係してない事をすることで、自身を制御する。

の9つです。

テレワーク中のサボりを、自制心を持って制御するためには、これらの方法を理解し実践する必要があります。

テレワークをする前にこれらのことを研修等で伝えることも、サボりを防ぐ良い方法です。

テレワークの問題点と解決方法

ここまで、サボりの原因はテレワークという環境ではなく、働く人の意識の問題として説明してきました。

しかし、テレワークという働き方にも問題はあります。

テレワークの問題点と解決方法について説明します。

コミュニケーションがとりづらい

前述の「フリーランスガイド」によるアンケート調査では、リモートワークで困ったことの第1位は、「コミュニケーション・指示・確認がしづらい」というものでした。

テレワークでコミュニケーションが取りづらいという問題は、さまざまなアンケートで上位にあり、テレワークにおける最大の問題点と言っても過言ではないでしょう。

とはいえ、現在では
・Web会議システム
・チャットツール
・社内情報の共有ツール
・バーチャルオフィス
など、コミュニケーションを取るための技術が数多く登場しておりコミュニケーションの問題は技術的に解決できることが多くなっています。

しかし、これらがあるだけでは解決しないコミュニケーションがあります。

人がストレスを感じずに働くためのコミュニケーションのうちの大切なものの1つに、インフォーマルなコミュニケーションがあります。

インフォーマルなコミュニケーションとは、偶然出会った人とする雑談などを指します。

例えば、喫煙所でたまたま居合わせた人同士は、それとなく雑談をするという事がよく言われます。

タバコを始めた人の中には、普段話せないような重役の人に顔を売るために始めた・・・という人もいるくらいです。

こういった雑談の中から、思わぬアイデアや、今抱えている問題の解決策が出てくる事は、誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。

インフォーマルなコミュニケーションはツールではなく、運用で解決する必要があります。

例えば、会議の前に雑談の時間を作る、雑談用のチャットルームを作るなど仕事に直接必要のないように思える時間、場所を作る必要があります。

評価の困難化

働いている姿を目にすることがなくなるため、
・仕事のプロセスが見えない
・モチベーション高く職務に取り組んでいるかわからない
など
出勤して仕事をしている場合と比べて評価が難しくなります。

この問題を解決するためには、評価制度の見直しが必要です。

ここで、評価の方法として成果主義を前面に押し出すことは失敗に繋がります。

成果主義には
・正当な評価ができる
・生産性の向上
など、確かなメリットはあります。

しかし、
・チームワークが育たない
・数字に表れない会社への貢献度を評価できない
など根本的な問題があります。

とはいえ、成果主義のすべてに問題があるわけではありません。

成果主義を一部で採用することは有効な評価方法です。

成果主義の他に、KPI(Key Performance Indicator:ゴールまでの重要プロセス指標)を設定し、成果だけでなく、KPIの達成率も評価する方法もリモートワークの評価方法として有効な手段です。

この方法であれば、結果が出ていなくても達成度やプロセスを評価することができます。

しかし、KPIの設定による評価の場合も、数字に表れない会社への貢献度は評価できません。

仕事の内容に適した評価方法を採用する必要があります。

テレワーク運用の相談はAMELAに

今回は、現在多くの企業で導入されているテレワークに関して、大きな問題の一つであるサボりについて見てきました。

モチベーション高く、全員がいきいきと働けるような仕組み作りは、今後の日本企業の課題であり、そのためにも
「監視だと社員に思われず、なおかつ状況把握やコミュニケーション改善をする」
という事が必要でしょう。

これらの問題を解決する方法の1つがITでしょう。

AMELAでは、様々な業務システムの開発も行っており、多くの企業様の現在の課題を解決してきています。

御社も是非、ご相談頂ければと思います。