プログラミング言語C#とは?特徴や他の言語との違いは?得意分野と作れるものを解説

「C#」というプログラミング言語を聞いたことがありますか?

C言語やC++から派生した言語で、
・Windowsアプリを簡潔に記述
・Webやモバイルアプリのクロスプラットフォーム開発
・ゲームやVR、AR、MRなど分野で定番のUnityアプリのクロスプラットフォーム開発
などが出来る点で高い評価を得ています。

C#はMicrosoft社が2000年に発表したもので、.NET Frameworkで動作するほか、統合開発環境Visual Studioの提供する直感的なGUI作成機能やコード自動補完機能が利用できるメリットもあります。

今回は、C#について特徴や他の言語との違い、得意分野やC#で作れるものについて詳しく解説します。

プログラミング言語C#とは

「C#」は「シーシャープ」と読み、C言語やC++から派生したプログラミング言語で、Microsoft社によって開発されたものです。

Windowsやモバイル、Webなどのアプリ開発のほか、ゲームやVR/AR/MRなどのアプリ開発にも幅広く使われています。

C#の特徴

C#にはどのような特徴があるのでしょうか。

以下で、それについて見ていきましょう。

マルチパラダイム言語

C言語をベースに拡張したオブジェクト指向のプログラミング言語ですが、
・手続き型プログラミング
・関数型のデータ抽出
・ジェネリックプログラミング(C++のように具体的なデータの型に直接依存しないで汎用的なコードを記述できる)

などの要素も兼ね備えています。

このようなマルチパラダイム言語の習得により「問題解決の引き出し」が増えますから、限られた時間/要員/スキルなどの枠の中でシステム開発や改修を効率良く行うのに役立つでしょう。

このように豊富な言語機能やライブラリの充実、LINQ(操作メソッドを数多く提供するライブラリで、ループ処理を簡潔に記載できる)、ラムダ式(関数を挿入したい場所で関数を定義する)などにより、冗長さのない簡潔なプログラムを記述できます。

また、C#はC言語やJavaの構文の良い部分を継承していますから、JavaやC言語/C++の経験者には取り組み易いです。

Windowsアプリが開発し易い

C#は公式ライブラリ以外に、サードパーティ製のライブラリが充実しており、特にWindows上で処理するライブラリに関しては他の言語よりも豊富です。

また、C#は統合開発環境(IDE)Visual Studioと共にMicrosoft社より提供されています。

なお、Visual Studioを使うことには、
・直感的なGUIフォームが簡単に作れる
・コードの自動補完機能が充実している
などのメリットがありますから、コーディングのミスが起きにくく、生産効率が高いです。

さらに、Visual Studioは頻繁にアップデートされ、機能の刷新と充実が行われていますから、Windowsアプリの開発環境としては大変優れていると言えます。

.Net Frameworkで動作する

C#は2000年に「.Net Framework」と共に誕生しました。

.Net FrameworkはMicrosoft社が相互運用や共通の実行環境、言語への非依存性を目標に開発したフレームワークです。

C#で作られたソフトウェアが.Net Frameworkに指示(中間コード、CLR)を出し、.Net FrameworkがOS上で指示を実行させます。

C#で生成されたCLRは、異なる.NET言語由来のCLRと簡単に連携でき、さまざまな言語を1つに統合してシームレスに.Net Frameworkで処理することも可能です。

C言語/C++との違い

冒頭でC#はC言語やC++から派生したと述べましたが、これらの言語と比べてどのような違いがあるのでしょうか。

ソフトウェア動作の違い

第一の違いは、ソフトウェアの実行方法の違いです。

C言語やC++で作られたソフトウェアは直接OS上で実行しますが、C#で作られたソフトウェアは.Net Frameworkで動作しますから間接的にOS上で実行することになります。

第二の違いは、コンパイル方式/インタプリタ方式の違いです。

C言語やC++はコンパイラ言語ですが、C#はコンパイラ言語としてもインタプリタ言語としても利用できます。

第三の違いは、ガベージコレクション機能の有無です。

この機能は、プログラムが確保したメモリ領域のうち、不要になった領域を自動で解放してくれる機能です。

この機能はC#にはありますが、C言語やC++にはありませんから、C#の方がリソース管理が容易です。

適用分野が異なる

詳しくは、後で述べますが、C#は.Net Framework上で動作するWindowsアプリやモバイルアプリ、Unityエンジンを使用したゲーム開発やVR/AR/MRの分野に向いています。

これに対して、C++は大規模な基幹システムや業務システムの開発、IoT用の組み込みソフトウェアの開発など、限られたリソースを厳密に管理し、高速処理することが要求される分野に向いています。

C#の得意分野とC#で作れるもの

ここでは、前章で紹介したC#の特徴を活かしたシステム開発の分野や、C#で作れるものについて具体的に見ていきましょう。

C#の得意分野

C#はWindowsアプリの開発に最も向いていると言われていますが、その背景にある
「.Net Frameworkでの動作」
「統合開発環境(IDE)の提供」
との関連について説明した後、具体的な得意分野に話を進めましょう。

Windowsアプリの開発に向いている(.Net Frameworkで動作)

先ず、.Net Frameworkで動作することに関してです。

前述したように、C#によるWindowsアプリは二段構えで動作しますが、そのことで「実行環境を選ばない」という強みが生まれます。

では、「Windowsで実行環境を選ばない」というは、具体的にどのようなメリットがあるのか。

・.Net FrameworkはWebやWindows、Windows Server、Microsoft Azure用のアプリを開発するプラットフォームとしてのメリットです。
・.Net FrameworkやWindowsは次々新しいバージョンがリリースされますが、CLR仕様には頻繁なバージョンアップがありません。

これらにより、C#で作られたソフトウェアのCLRは、.Net FrameworkやWindowsの頻繁なバージョンアップに悩まされることなく、使い続けることができるのです。

なお、.Net Frameworkには膨大なライブラリが付属していますから、複雑な機能を簡単に実現できるメリットもあります。

Windowsアプリの開発に向いている(統合開発環境の提供)

次に、統合開発環境Visual Studioと共に提供されることです。

Visual StudioはMicrosoft社が提供するC#やVisual Basic用の統合開発環境で、コードエディタやコンパイラ、デバッガなどのツールが備わっていることも強みと言えます。

また、行き届いた開発サポートが受けられ、インストールからライブラリ利用、入力補助、簡便なGUI設計機能によって、C#初心者でも容易にGUIアプリ開発に取り組むことができます。

なお、Visual StudioはC#のバージョンアップに合わせて、新しいバージョンがリリースされています。

Webやモバイルアプリのクロスプラットフォーム開発

開発環境Visual Studioや.Net FrameworkにはMicrosoft社がオープンソースしたVisual Studio Codeや.Net Coreがあります。

Visual Studio CodeでC#を使うにはMicrosoft公式の拡張機能「C#(OmniSharp)」のインストールが必要です。

なお、.Net CoreはWindowsやMac、Linuxのクロスプラットフォーム用ですが、Windows版のアプリをそのままMacで動作させるようなことは出来ていません。

このようなツールを使ってクロスプラットフォーム開発するには、以下のように進めます。

(1)プラットフォームに依存しないベースの部分は.Net Standardで開発します。

(2)プラットフォームに依存する部分は、以下のようにフレームワークや開発環境を使い分けます。

・Windows環境で利用するなら.Net Framework
・クロスプラットフォームのWebアプリならASP.NET Core
・macOSやiOS/AndroidのモバイルアプリならXAMARIM

ゲーム、VR/AR/MRのアプリ開発

ゲームやVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)は先端IT分野でも今最も注目されている分野の1つで、エンターテイメント・医療・建築など多くのビジネスの分野で実用化が進んでいます。

ゲーム開発やVR・AR・MRなどの開発ソフトの分野で世界で最も使われてるのがUnityで、Unityアプリの開発スクリプトはC#です。

それらの違いは、概略以下の通りですが、MRはVRやARの進化したものです。

VR:スマホなどに現実の画像に新たな画像やテキスト情報を追加などが可能
AR:ヘッドセットなどで現実を遮断し仮想世界を体験などが可能
MR:専用ゴーグルに利用者の動きに合わせたCGやデジタル情報などを表示

C#で作れるモノ、出来るコト

ここでは、C#が得意とするところを利用すれば、具体的にどのようなモノが作れるのか見ていきましょう。

Windowsデスクトップアプリケーション

C#とWinFormとWPF(Visual Sudioに搭載されているGUIフレームワーク)を利用して、簡単にデスクトップアプリを開発出来ます。

画面はドラッグアンドドロップで、処理はC#で記述します。

具体的には、フォームの作成に当たっては、ボタンやドロップダウンリスト、チェックボックス、カレンダーなどを画面上でドラッグアンドドロップして配置するという具合です。

Webアプリケーションをクロスプラットフォーム開発

C#とASP NET(Windows標準の.Net Frameworkに搭載されているフレームワーク)を使うことで、Webアプリケーションを開発します。

Visual Studioと組み合わせて利用することで、初心者でもWindows環境の高機能なWebアプリケーションを開発できます。

その後、Windows環境以外にLinuxやmacOSでも動作する、クロスプラットフォームのオープンソース「ASP.NET Core」と「Blazor」がMicrosoft社からリリースされました。

BlazorによりJavaScriptの代わりにC#を使用して対話型Web UIを構築することができます。

なお、BlazorアプリはC#やHTML、CSSを使用して実装された再利用可能なWebUIコンポーネントで構成されます。

モバイルアプリケーションをクロスプラットフォーム開発

C#とXamarin(Visual Studioに搭載されている開発環境)を使うことで、Windows上でiOSやAndroidなどに向けたソフトウエアをクロスプラットフォーム開発できます。

プラットフォームに合わせて、アプリにWindows/Android/iOSのネイティブAPIやネイティブコントロールを組み込むことができますから、ネイティブ開発されたアプリと同様の応答性が実現可能です。

また、Xamarin.Formsを使えば、Windows/Android/iOS間で共有できるユーザーインターフェースを作成できます。

ゲーム、VR/AR/MRなどのアプリををクロスプラットフォーム開発

先にも述べましたが、この分野ではをクロスプラットフォーム開発可能なUnityが最も多く使われており、その言語はC#です。

具体的には、世界の新規モバイルゲームの半数、売上上位1000タイトルの半数がUnityを使って作られており、急発展中のVR/AR/MRなどの分野でもアプリ開発にUnityが使われています。

MRデバイスHoloLensアプリををクロスプラットフォーム開発

Microsoft HoloLensはヘッドマウントディスプレイの一種で、利用者が頭部に装着してMRを体験できるものです。

HoloLensアプリの開発は、Unityアプリ開発をベースとしたクロスプラットフォーム開発により行われます。

HoloLensアプリの開発環境は、Visual StudioにMicrosoftの提供するMixed Reality ToolkitとUnityパッケージをダウンロードしてインストールしたものです。

Mixed Reality Toolkitには、基本的でコアとなるHoloLensの機能やHoloLensに共通する高度な機能がUnity APIとして含まれており、これらを利用してUnityアプリを開発します。

HoloLensのテストは、開発の前半ではこの開発環境でエミュレータを使って行われ、開発の後半になると実機を使って行われます。

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今回は、C#について見てきました。

C言語などは、プログラマーなどIT職以外の人でも聞いたことが有る人も多いです。

大学で、文理問わず選択科目として選べる所も多いようで、身近に感じられる事も多いのではないでしょうか。

そんなC言語とC#の違いや、C#に向いている内容が今後の参考になれば幸いです。

現在、C#のプロジェクトの割合は、それほど多いとは言えません。

今流行のPythonやPHP、Rubyなどに比べれば、マイナーな言語になりつつ有るでしょう。

一方で、すでに作られた製品がC#で作られており、回収や追加開発でC#のエンジニアが必要な場面も多いです。

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