エンジニアの新常識!システム開発への強力なツール『AWS Cloud9』とは

システム開発は、多人数での作業が可能な開発環境の作成やその維持など、自社で行おうとするとかなりコストがかかりますよね。 そこで、AWS Cloud9があります。 AWS Cloud9を導入することによって、プロジェクトの開始だけではなく、開発の作業効率を上げることでより良いシステム開発・運用が可能になります。 この記事では、AWS Cloud9の概要、機能、そして料金について解説します。

AWS Cloud9とは

AWS Cloud9とは

AWS Cloud9とは AWS Cloud9とは、Amazonが提供するクラウドベースの統合開発環境(IDE)です。 IDEというのは、システム開発のために必要な様々な機能を1つのインターフェースとして利用できる環境のことです。 IDEにはCloud9の他にも、IBM社のEclipseや、Microsoft社のVisual Studioなどがあります。 JAVAでの開発経験がある人はEclipseを使ったことがある人も多いでしょうし、VB.netやC#といった言語を経験したことがある人はVisual Studioを使ったことがある人が多いでしょう。 AWS Cloud9は2010年にCloud9 IDE社によって開始され、2016年にAmazonが買収し、AWS(Amazon Web Service)の一員となりました。 AWSはクラウドを用いたウェブサービスの総称で、他のAWSサービスと同様に、Cloud9の使用にはAWSアカウントが必要となります。 Cloud9は、いくつかのAWSサービスと連携して運用していくことになります。 Cloud9の仕組みを簡単に説明すると以下の通りです。 まず、ローカルコンピューターから、ブラウザを用いて、プロジェクトの保存、管理、開発が行えるCloud9の開発環境を操作します。 このとき、サーバーはCloud9環境に接続されます。 そして、Cloud9環境で作業したものは、Amazonが提供する管理オブジェクトであるAWS CodeCommit リポジトリ等に保存されます。

AWS Cloud9でできること

AWS Cloud9でできること

AWS Cloud9でできること Cloud9には、開発をサポートする多種多様な機能が備わっています。 ここでは、その中でも主要なものについて、コードライディングのための、そして開発のための機能に分けて解説します。

コードライティングのための機能

Cloud9は、システム開発の根幹であるコードライティングのための強力なパッケージやエディタを提供しています。

40以上のプログラミング言語のパッケージ

Cloud9には、Javascriptをはじめ、Python、PHP、Ruby、Go、C++など、よく用いられる40以上のプログラミング言語のパッケージをあらかじめ備えています。 なので、コードを書くときに外部からツールをインストールする必要がありません。 サポート言語については以下から確認できます。 (AWS Cloud9 統合開発環境 (IDE) の言語のサポート:https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/cloud9/latest/user-guide/language-support.html) コードの実行から、ハイライトやヒント、デバッグなど、言語によって対応しているものが異なるので注意してください。

使いやすいエディタ

Cloud9のエディタには、実行やデバッグだけではなく、コードを補完する機能や、コードのヒントを出す機能があります。 これにより、手早くコードを組み立てることができるだけでなく、コードの最適化も容易に行うことができます。 また、ショートカットキー、ドラッグ&ドロップ操作、UIのカスタマイズができるなど、他のエディタと比べてカジュアルなのも特徴です。 Cloud9には画像編集機能もあり、主要な拡張子(.jpg/.jpeg/.pngなど)のイメージに対応しています。

統合デバッグ機能

Cloud9には強力な統合デバッガーが付属しており、よく使用される機能を一通り揃えています。

開発のための機能

次に、システム開発を行うために用意された機能をいくつか紹介します。

サーバレス開発のための統合ツール

Cloud9はサーバレス開発に必要な、ソフトウェア開発キット(SDK)を始めとする様々なツールを提供しているので、サーバレスアプリケーションを簡単に構築することができます。

既存のLinuxプラットフォームへの接続

既に使用しているLinuxサーバプラットフォームがある場合でも、Cloud9環境から接続して実行できます。 セットアップ時にSSH接続オプションを選択するだけで、様々なLinuxプラットフォームへ接続することができます。

組み込みターミナル

Cloud9のターミナルは、管理対象のインスタンスに対する管理者権限コマンド(sudo権限)を備えており、コード変更やコンパイル、コマンド出力の表示などのコマンドを操作できます。 また、AWS コマンドラインインターフェイスによって、他のAWSアプリケーションを直接操作することができます。

共同編集とチャット

多人数で開発するために、開発チームと開発環境を共有できるので、開発者どうしでコードや進捗をチェック、そしてチャットによって意見交換し、スムーズに開発を進めることができます。

AWS Cloud9の使い方

AWS Cloud9の使い方

AWS Cloud9の使い方 ここからは、Cloud9を始めるための方法を解説します。 詳しくはAWS公式サイトにありますが、たった3ステップで開始できるので、全く難しくありません。

セットアップ方法

Cloud9はAWSアカウントを用いるので、まだアカウントを持っていないのであれば、作成する必要があります。 次に、AWS IAM(Identity and Access Management)アカウントを作成します。 これは、チームで開発をするために、1つのAWSアカウントから複数のユーザーを参加させるためのものです。 最後に、AWSクラウド環境を作成します。 Cloud9には、EC2環境とSSH環境の2種類が用意されています。 EC2環境とは、Amazon EC2 インスタンスにCloud9環境を接続して運用する環境のことです。 対して、既存のインスタンスや独自のサーバにCloud9環境を接続して運用する環境のことをSSH環境と呼びます。 EC2環境とSSH環境のうちから、開発方針や運用方針などに、より合致するものを選んでください。 これで、Cloud9を利用できるようになります。

環境構築

まずはAWS Cloud9コンソールにサインインします。 このとき、アカウントの種類や使用状況によって環境構築の方法が異なるので、ユーザーガイドから確認してください。 次に、ナビゲーションバーから環境を構築する場所を選びましょう。 そして「環境を構築」をクリックして、環境の名前や説明を入力してください。 その後、(EC2環境を使用する場合)EC2インスタンスを生成、プラットフォームを選択(Amazon Linux, Amazon Linux2, Ubuntuから選べます)、そしてコストやネットワーク、タグを設定すれば環境構築は完了です。

ユーザーガイド

Cloud9には、丁寧で詳細なユーザーガイドが用意されています。 本稿で解説したような基礎的な機能の解説から、Cloud9を開始するための入門ガイド、さらには操作・運用方法を確認するためのチュートリアルや高度な操作のためのガイドまであります。 ユーザーガイドは、デフォルトでは英語表記になっていますが、ナビゲーションバーから言語を日本語に変更することができます。 また、ユーザーガイドで問題が解決しない場合、問い合わせだけではなく、AWS Cloud9コミュニティへ質問を投稿することもできます。

AWS Cloud9の使用料金について

AWS Cloud9の使用料金について

AWS Cloud9の使用料金について ここまで、Cloud9の持つ機能と導入方法について解説しました。 これだけの機能を備えたサービスですから、コストもそれなりに掛かるだろうと思われるかもしれません。 このトピックでは、AWS Cloud9を利用するのにかかる料金について解説します。

AWS Cloud9自体は無料で使える

AWS Cloud9を導入すること自体は無料で行えます。 AWSアカウントとAWS IAMアカウントの作成にも料金はかかりません。 AWS Cloud9の開発環境にAmazon EC2 インスタンスを使用することで、初めて料金が発生します。 ちなみに、SSH環境から既存のLinuxサーバに接続して使用する場合は、料金が発生しません。

EC2は使った分だけ料金がかかる

EC2は前払いでも定額制でもなく、使用した分だけ、他の有料のAWSアプリケーションと同じように、コンピューティング料金とストレージ料金がかかります。 一例として、一日4時間、月20日利用した場合、コンピューティング料金(1.05ドル)とストレージ料金(1.00ドル)を合わせて、2.05ドル(約233円)の使用料が発生します。 AWS Simple Monthly Calculatorを利用することで、次月の見積を作成することができます。 また、この料金は運用時間によって決まるので、環境構築の「コストの削減」のセクションから、シャットダウンまでの時間を決めることで、調整できます。 AWSには上限ありの無料利用枠が用意されているので、ためしに導入してみて料金が発生するまでの間に猶予があります。 Amazon EC2の場合、月750時間、12か月の無料枠が設定されています。

解約方法

AWS Cloud9の解約はAWSのマイアカウントから行います。 解約操作ができるのはルートユーザーのみです。 グループの支払いアカウントを解約する場合は、先に「組織を削除」する必要があります。 具体的なやり方は以下の通りです。 サインインした状態で、ナビゲーションバーから「マイアカウント」を選択、「アカウントを閉じる」から解約条件を確認した上で「アカウントを解約」を選択。 これでAWS Cloud9アカウントの解約ができました。

システムの相談ならAMELAに

システムの相談ならAMELAに

システムの相談ならAMELAに 今回は、AWSの中でも開発者のためのツールであるAWS Cloud9についてお話してきました。 良い開発環境を使うことで、作業効率が上がるだけではなく、開発時のバグを減らしたり、自動的にインデントを付けてくれるため、後々見やすくなる・・・など、様々なメリットがあります。 また、こういった開発環境は、開発経験の少ないエンジニアにとっては、業界の基礎を学ぶ事もできるため、教育のためにも利用できます。 AMELAでは、日々新しい技術を学び、業界の最先端を走っています。 「こんなことができたらいいのに」 というご相談を是非頂ければと思います。