人事考課のフィードバックで部下は育つ?フィードバック面談の注意点

現在日本は少子高齢社会と言われて久しいですが、総務省のデータによれば、平成30年の段階で、戦後総人口のピーク時よりも150万人ほど人口は減少し、65歳以上の割合も28.1%となっています。 今後もこの傾向が続くと、どんどんと労働人口が減ることになります。 そうなった時に重要視されるのが 「1人1人の力を最大限に引き出して効率的に売上を上げる」 事ではないでしょうか。 今回は、そんな個人の力を引き出すための 「人事考課」 のフィードバック面談について見ていきたいと思います。

人事考課におけるフィードバック面談の重要性

人事考課におけるフィードバック面談の重要性

人事考課におけるフィードバック面談の重要性 現在、会社組織全体を見るだけではなく、1人1人の力を最大限に引き出して仕事をすることが重要になってきています。 しかし、多くのサラリーマンは常に会社が求めるような 「向上心を持ってスキルを磨き、仕事に邁進する」 という姿勢をキープすることはできません。 入社当初はやる気もあって頑張っていた人も、何年も仕事をしていくうちに勉強しなくなっていきます。 特に、年間を通して同じような仕事になる会社は、勉強をする必要性を感じられなくなったり、その頑張りが給料や仕事に反映されていないと感じるようになり、やる気が無くなっていきます。 そうならないためにも、1人1人をしっかりと育成する上でフィードバック面談が必要になるのです。

人事考課におけるフィードバック面談のメリット

人事考課におけるフィードバック面談のメリット

人事考課におけるフィードバック面談のメリット 人事考課において、フィードバック面談を行うことのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

人材育成のサポート・キャリアプランを共有できる

人事考課では、従業員の能力や勤務態度に対して評価を行うことが目的になっています。 給料は当然従業員としては気になるところでしょうが、それ以上に 「どうしてその評価になっているのか」 ということを理解できるのはフィードバック面談の大きなメリットでしょう。 学校の成績表の様なものの場合、細かくその理由などについて質問する人は非常に少数派であると考えられます。 特に 「自分が良いと思っているのに悪く評価されているもの」 は質問したとしても 「本人が諦めている部分」 に関して、深く知ろうとする人は少ないです。 しかし、会社として 「こういう人材になってほしい」 という理想が当然あり、それが社員にとって納得の行くキャリアプランであれば、例え現状は評価が低かったとしても、モチベーションを高く仕事に取り組むことが可能であると考えられます。 フィードバック面談では、細かい部分まで 「会社はどういう育成をしたいのか」 と 「本人はどのようなキャリアを目指したいのか」 をすり合わせることが可能なのです。

離職率の低下

キャリアプランの共有とも繋がってきますが、離職の理由として 「思っているキャリアが描けない」 を挙げる人は多いです。 よく転職支援サービスなどが出している統計でも ・労働環境に不満がある ・仕事内容が不満 ・キャリアアップしたい という理由は、上位10位以内には入ってきます。 これらの理由の根本的な原因として 「会社が考えるその人の育成プランと本人の希望がずれている」 という事が挙げられます。 ということは、フィードバック面談でしっかりと本人の希望と会社の考えをすり合わせることが出来れば、離職率が低くなると考えられます。 少なくとも採用活動の段階では、 「自社に必要な人材」 「長期的に育てていく人材」 を求めて採用していることと思います。 そのため、面接時や研修期間の間にしっかりと会社の考えるキャリアプランを提示し、フィードバック面談を通して実業務や本人の考えを聞く。 この繰り返しによって離職率が低下すると考えられます。

部下とのコミュニケーションが取れる

普段部下とのコミュニケーションを取る機会というのは、意外に少ないものです。 同じプロジェクトにアサインされていればある程度のコミュニケーションを取る可能性はありますが、 「将来の事」 や 「キャリアについて」 という話を定期的に出来ている人は非常に少ないと考えられます。 そのため、そういった深い仕事に関する話をする機会としても、フィードバック面談は非常に大きなメリットと考えられます。

人事考課におけるフィードバック面談のデメリット

人事考課におけるフィードバック面談のデメリット

人事考課におけるフィードバック面談のデメリット では、反対に人事考課におけるフィードバック面談のデメリットを見ていきましょう。

時間と労力が必要

フィードバック面談をしっかりと行うためには、時間と労力が必要になります。 1人1人に対して、しっかりと評価や今後の事を話すには、1人あたり数時間単位の時間が必要になるかと思います。 多くの企業で、形式的な個人面談がある企業は多いですが、その実、深い内容まで話せているのかというとそうでもないケースが多いです。 例えば、半年に一度自分で立てた目標との乖離や、最近の仕事の状況を聞くだけ・・・という会社は多いです。 実際に、しっかりとキャリアプランについて話し合おうと思ったら、お互いに準備が必要でしょうし、話し合い自体も2~3時間以上になることも多いです。 しかし、それだけの時間がかかれば、仮に部下が10人いれば、数日間の業務が止まってしまう計算になります。 そのため、それほど深い内容を話せずに終わってしまう事が多いのです。

上司にコミュニケーション能力が求められる

日本の企業は、まだまだ年功序列制度が抜けきっていない所も多いです。 表面的には実力主義を謳っていたとしても、 「社歴が長い」 ということを考慮されるケースも多いでしょう。 管理職の中には管理能力が低いにも関わらず、社歴が長いという理由で管理職に就いている人も少なくありません。 そのため、上司側にきちんとしたコミュニケーション能力が備わっていない可能性があります。 フィードバック面談は、上司のコミュニケーション能力に依存する部分が多いです。 特に日本人には、自己PRが苦手な人材も多く、しっかりと話しを聞き出す能力が上司に求められます。

正しく評価しないとモチベーション低下に

評価というのは、正しく行われなければ本人のモチベーションの低下に繋がります。 多いのは、部署単位で 「全員が低い」 「全員が高い」 という状況を会社として良く思わない場合です。 全員が低いと管理職の管理問題に発展したり、全員の評価が高いと目標設定や基準が低いのではないかと疑われます。 そのため、本来なら高いと評価されるべき人材が、周りとの兼ね合いで平均的な評価をされる・・・ということが起こる可能性があります。 これは、本人が自分の仕事に自信や誇りを持っていればいるほど、モチベーションの低下に繋がってきます。

評価に繋がる仕事を重視してしまう

社歴が長い事による昇格について前述しましたが、年功序列制度の名残りとして「年齢給」や「社歴給」が存在する会社が多い一方で、実力による「職能給」が考慮される企業も増えてきました。 そのため、人事考課自体が給料に関係してくる企業も多いです。 ここで問題になるのが、 「評価に繋がる仕事」と「評価に繋がらない仕事」 を分けて考えてしまう人が多いことです。 評価されない仕事であっても、非常に重要な仕事は多いでしょう。 例えば受注に関する事務処理や変更処理、配送の手配や契約書・見積書の作成など。 これらを「評価されない仕事」として人に任せる人が出てきます。 営業マンであれば、「売上」が評価として大きく左右すると考えられますが、それ以外の事務仕事を後輩や事務員に必要以上に押し付ける。 これは、他の人の不満に繋がることに加えて、他の人が「本来やるべき重要な仕事」を行う時間を減らしてしまう事になります。 その結果、一部の人間は評価されるものの、それ以外の人間が評価も成長も出来ないという環境になりかねません。 フィードバック面談を行う上司としては、そういった数値に現れにくい仕事もしっかりと評価していく必要があるでしょう。

人事考課におけるフィードバック面談の注意点

人事考課におけるフィードバック面談の注意点

人事考課におけるフィードバック面談の注意点 では、実際に人事考課におけるフィードバック面談の際の注意点を挙げていきましょう。

システムによって明確なデータ化と業務効率を上げておく

人事考課をしっかりとシステム化することが重要です。 人事考課の際の面談・面接や自己評価・他己評価などの情報を集計するのに時間がかかってしまうのは得策ではありません。 本来なら、フィードバック面談が最も重要であり、そこに多くの時間を使うべきなのです。 そのため、可能な限りデータを収集する段階は業務効率化を行い、日常業務への負荷を減らしておくことが重要でしょう。 また、システムによってデータ化することによるメリットとしては、過去の情報の参照や推移を簡単に見ることが出来る点にあります。 各人の過去の評価はもちろんのこと、会社全体として 「人事考課がきちんと活かされているのか」 という点に関しても、データ化していれば管理しやすくなります。

評価は明確に提示する

評価は可能な限り明確なものにするのが良いでしょう。 例えば、個人の売上は数字として見る事が出来るので評価しやすいですよね。 これと同様に、その他の項目でも数値化出来るようにしておくと良いでしょう。 ・資格の有無 ・残業時間 ・自分の担当の取引先数 ・昨年からの経費削減割合 など、様々な情報は数値にすることが出来ます。 その他、性格や本人の内面的な特徴も 「会社が正解と定める人材」 を想定する事で、どの程度それに則しているのかを数値にすることが可能です。 フィードバック面談を受ける側にきちんと理由を説明し、納得してもらう上でも、この数値化が重要になってきます。

人事考課が低い人の対処方法を考えておく

人事考課の結果が高い人は、恐らく自分自身で努力ができるタイプの人間だと考えられます。 こういったタイプには、正当な評価をすると共に、 ・自分の苦手の克服から目を背けていないか ・きちんとキャリアプランがあるのか ・評価される仕事だけに目を向けていないか という点に注意さえしておけば、順調に成長する可能性があります。 一方で、人事考課が低い人に対しては、どの様に対処していくのかをしっかりと決めておく必要があるでしょう。 例えば、本人の特性をきちんと理解する努力や、必要な研修を外部に委託する、スキルを高めるための話し合いをするなど。 自分自身で努力が出来ない人や、努力の方向性を間違っている人に対してどの様に対処するのかを決めておきましょう。

長所に注目する

可能な限り、人事考課において「長所」に注目することが重要でしょう。 もちろん、短所を無視して良いわけではありませんが、短所は誰もが自然と見てしまうため、長所が無視されがちです。 しかし、これからの時代は、社内で誰もが苦手な単純作業を外部委託するなど、業務の方法は多様化されていきます。 そういった時代で重要なのは、 「その人の長所や能力を最大限に活かす」 という選択でしょう。 そのため、普段はあまり注目されない長所についてしっかりと見ていく必要があるのです。

相対評価よりも絶対評価

人間は基本的に 「相対評価」 をしてしまいます。 あの人と比べて出来る・出来ない・・・ この様な評価方法では、多くの人が誰かには劣っているため、正しい評価がされない可能性があります。 そのため、可能な限り絶対評価を行うのが良いでしょう。

本人に自己評価や目標を発言してもらう

多くの企業では、 「上司に対して顔色をうかがう人材」 が多いです。 特に日本人は個性の主張をするのが苦手な人が多く、怒られないくらいの目標を掲げる人が多いです。 しかし、これでは個人の成長は難しく、フィードバック面談の意味合いも薄れてしまいます。 また、心理学的にも 「自分で決めた目標・ゴール」 に対しては、他人に指示された目標やゴールよりも高いモチベーションで望めると言われています。 そのため、あくまでも最終的に自己評価や目標は本人に発言してもらうのが良いでしょう。

会社でのポジションや役割を「押し付ける」のではなく「共有する」

反対に、 「会社としてはこういう人材になってほしい」 という希望は当然あるかと思います。 それを本人に対して押し付けるのではなく、共有する形で同じ方向を向いてもらうことが重要です。 そのためのフィードバック面談であり、この段階が最も重要になります。

人事考課にシステムは必須!最適なシステム導入はAMELAに

人事考課にシステムは必須!最適なシステム導入はAMELAに

人事考課にシステムは必須!最適なシステム導入はAMELAに これからの時代は、個人の能力を発揮することが重要になりますが、そのためにもフィードバック面談には多くの時間と労力をかける必要性があります。 しかし、現状多くの企業ではエクセルなどで人事面談の結果を記録するなど、非効率的な仕事をしていることにより、フィードバック面談に時間が割けない・・・という企業も多いです。 そうならないためにも、しっかりと業務をシステム化していく必要があるでしょう。 AMELAでは、様々なシステムの開発によって業務効率を最大化することが可能です。 人を育てるのは難しいですが、客観的なデータの活用や中長期的な定点観測を繰り返すことで、育成のサポートができます。 まだまだ先の見えない日本経済ですが、少しでもシステムを活用することで 「今ある資源・人材」 の活用で大きな成果を上げることが大切でしょう。 現状の仕事のやり方に不満や不安がある企業様は是非ご連絡ください。